テーマ:脳科学 science

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy: PSP)という病気はあまり聞きなれないものと思います。この疾患は神経変性疾患に分類され、その症状は、パーキンソン症候群や前頭側頭葉型認知症にまたがっており、発症の原因は不明、確立された治療法はない難治疾患です。この疾患はパーキンソン病(Parkinson …

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大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)

今回は大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)について。CBDもPSPとともに神経変性疾患に分類される疾患ですが、典型的な症状に乏しく、ほかの神経変性疾患との鑑別が困難な疾患です。この疾患も原因不明で、根本治療法も確立されていません。症状に左右左があり、比較的緩やかです。人口10万人あたり2人の…

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PETプローブ

PETとは、positron emission tomography 陽電子放出断層撮影の略で、放射能を含む薬剤を用いて、心臓、脳などの体の中の細胞の働きを断層画像として捉える核医学検査の一種。これにより病気の原因や病巣、病状を的確に診断することが出来ます。そして、この検査が認知症などの神経変性疾患の診断にも応用されています。今回は、進…

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休眠

睡眠と冬眠の違いをご存知の方も多いと思いますが、休眠?って何と思う方も多いと思うので調べてみました。定義がちゃんとありました。哺乳類は一般的に37度付近の体温を維持するように代謝制御される恒常性をもつ。しかし、冬季や飢餓などの危機的状況において低代謝状態に移行し、生存のため通常では組織障害を生じる程度の低体温となる種も存在する。この制御…

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分子構造病理学 Molecular Structural Pathology

学問の体系化・分類、新しい分野の開拓は、学者の役割の一つです。2017年あたりから、脳科学の分野での業績から新しい分野ができつつあります。以前の記述(https://go969.at.webry.info/202003/article_4.html)で、神経変性疾患と分類される疾患患者さんの神経細胞あるいは脳にタンパク質の異常な蓄積がみ…

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軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)という状態

軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)という医学用語がよく聞かれ、また目につくようになってきました。簡単に言ってしまえば、健常者(正常の方)と認知症の方の中間の「状態」(つまり認知症かも?と思われる症状が見られる)ということです。MCIの診断基準を1999年に発表したPetersen博士らによる論文に…

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認知症脳内の蓄積物

認知症患者脳では、通常は細胞内で(可溶性の状態で)機能しているタンパク質が凝集・沈着していることがあります。このように凝集・沈着したタンパク質とその蓄積している脳部位は疾患との関係性が強いので、これらに基づいて病理学的診断を行います。アルツハイマー病では、アミロイドβタンパク質(表には長くなるのでアミロイドとしました)からなる老人斑とタ…

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認知症の原因

認知症の原因疾患として主にアルツハイマー病などをはじめとした神経変性疾患と脳血管障害があげられます。そして認知症の原因となる疾患の割合を図にすると、アルツハイマー型認知症(67.6%)、毛完成認知症(19.5%)、レビー小体型認知症(4.3%)、前頭側頭葉型認知症(1.0%)、アルコール性(0.4%)、混合型(3.3%)そしてその他(3…

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認知症の症状

認知症の症状は中核症状と行動・心理症状に分けられます。中核症状として記憶障害、実行機能障害、理解・判断力の障害そして見当識障害があります。記憶障害とは、物事を覚えられなくなったり、思い出せなくなることです。実行機能障害とは、計画を立てた行動ができなくなることです。理解力・判断力の障害とは、考えるス…

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病理学

大学の医学部で習得する学科のうち、解剖・生理・病理は基本中の基本といわれます。解剖は外科など、生理は内科などにすぐに臨床と関連づけられますが、病理?と思う人もいると思います。病院に行っても案内板に病理科という項目が書かれていることもあったり、なかったり。開業医としてxx内科医院、△△外科医院というのは見かけますが、□□病理医院というのは…

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未知なるもの

未知なるものに対して古来より人は恐怖や神秘を感じてきてきました。シャーマニズムなどの信仰もその一つと考えられます。もちろん日本も太陽信仰のようなものがあり、天候の占いなどをする特殊な能力のある巫女の存在も確認されています。現在に伝わる身近なご存在が天皇陛下でしょう。毎年11月に行われている新嘗祭は五穀豊穣をお祈りするものです。さて未知な…

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正義

正義ほど難しいものはないと思うことがあります。それは人によって、または同じ人でも状況によって異なるためだと思います。育った環境、宗教、教育、哲学、思想、信条などが何を正義とするか影響を与えます。偉い人、尊敬する人の言うことは正義ということもあります。宗教間のトラブルが古くから現在まで続いているのはそのためで、両立し難い対象があるからでし…

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ベテルギウスがなくなる?

National GeographicのHPに「オリオン座の巨星に異変、超新星爆発が近い?」https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/010600006/?P=1という記事を目にしてびっくり。昨晩も見た星座に変化が起きているとは。オリオン座の巨星といえば、ベテルギウス(巨人オリオンの手を意味す…

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温故知新

中学生時代に正月休みの宿題の一つに書き初めなるものがあり、温故知新というのを書かされた記憶があります。先人の知恵や思考に研究上のヒントがあればという考えや、生命科学における未解明の問題や疑問について調べてみようと、古い文献や古書を検索したり、読んだりすることも多いです。この正月には元東京医科歯科大学教授萬年甫先生(1923-2011)の…

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核酸(プラスミドDNA)精製キット

分子生物学実験では、プラスミドDNAの精製はもっともよくつかわれる実験技術です。プラスミドDNAとは発現ベクターやクローニングベクターなるサークル状の小さなDNAに、実験で機能を解析したい遺伝子を含むDNAを挿入させたもので、培養細胞に導入あるいは遺伝子を用いた次のステップの実験のために必要量複製することが頻繁にあります。通常は大腸菌の…

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錯覚

錯覚について勉強しています。その中で、私たちは対象をどう見ている、あるいは認識するのだろうかということを考えています。自分の前にあるものを目で見ているようですが、実は自分の見たいものや興味のあるものを頭で選り分けて見ているというのが脳科学的な解釈のようです。例えば旅行のとき目で見た風景と同じ風景をカメラで撮影して後で写真を見て、ああこん…

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こころはどこにある?

子供の頃ですが、こころはどこにあって、気持ちというのがどうやってできるのか不思議でした。本を読むようになってから、精神という言葉が出てきて頭が大事なの?と考えるようになりましたが、興奮したり、緊張したり、怖いことがあると、心臓がドキドキしたり、汗が出たり、背筋がゾッとすることがあります。神経伝達物質やホルモンについて勉強し始めると、心臓…

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研究はコツコツと

今週は本年度のノーベル賞のセレモニーがありました。昨日触れた動物行動実験ですが、その先駆けとなった研究の一つが、パブロフの犬として知られている条件反射の研究で、ロシアのイワン・パブロフ博士は1904年に医学生理学賞を受賞されました。受賞タイトルは、消化生理の研究により、その性質に関する知見を転換し拡張したこととなっています。実際の実験は…

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痛み

多くの方は、からだのどこかの痛みやふだん感じたことのない違和感があると、専門医の診断を受ける目的で通院を始めると思います。世の中は広いもので遺伝的に痛みを感じにくい、あるいはほとんど感じない人もいることがわかってきました。痛みを感じるメカニズムと温度を感じるメカニズムは共通する感覚神経が関与していることが多く、こうした温痛覚障害に自律神…

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腰部脊柱管狭窄症

多くの高齢者が長距離や長時間の歩行が困難で途中で休み休み歩くような症状(間歇性跛行 かんけつせいはこう)を示すことがあります。腰部の痛みはあまり大きくなく、足が痺れたりすくんだり。こうした場合多くは腰部脊柱管狭窄症と診断されます。腰が曲がっている場合、背筋を伸ばして歩くとさらに痛みが増すこともあります。加齢による背骨の変形、椎間板の膨化…

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寒さと高齢者

本格的に寒い季節になりました。高齢者を介護していると、色々と気をつけないといけないことが多くなります。寒さから血管の弾力性が落ちて固くなるため血圧が上がりやすくなること、縮こまってしまってリハビリ等の運動をなかなかしなくなってしまうこと、神経痛の頻発など。なるべく部屋を暖かくしたり、日照時間の短縮に関わらず生活のリズムを崩さないように心…

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モノアミン

ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質を総称してモノアミンといいます。基本的な化学構造は芳香環を持つカテコール核やインドール核などに-C-C-NH2の官能基を持つことが共通しています。ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンはチロシン、セロトニンはトリプトファン、ヒスタミンはヒスチジンなど…

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青斑核

青斑核について勉強しています。ヒトを含む霊長類の脳では大脳皮質が特別肥大していることから、脳というとこの部分を思い浮かべがちですが、脳科学の勉強をしていると、個体の生存という観点からは脳幹や大脳辺縁系という大脳の下部に位置する領域が重要と考えられます。脳幹や辺縁系からは神経ホルモンや伝達物質を分泌する神経(核)が存在し恒常性の維持や行動…

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第38回日本認知症学会学術集会

11月7-9日に第38回日本認知症学会学術集会が東京(新宿京王プラザホテル)にて開催されていたので参加してきました。患者さんによって疾患の表現型というのは個人差があるので、疾患分類は定期的にアップデートされることはよくあります。私が定期的に学会という場に参加するのもそれを確認することにあります。アルツハイマー病に代表される認知症は、その…

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